子どもの成長を見守る仕事として幼稚園教諭や保育士がありますが、これからどちらかの仕事に就きたいと考えている人の中には、両者の違いをもっと詳しく知りたいという人もいますよね。
こちらでは、就職したい人のために幼稚園教諭と保育士の違いを解説していきます。
【今回の記事はざっくりまとめるとこんな感じ】
- 幼稚園教諭と保育士の違いがわかります。
- 幼稚園教諭と保育士の給料や必要な資格がわかります。
- 最後におすすめの転職サイトをご紹介しています。
でも、2つの違いとかよくわからないし、必要な資格とかあるのかしら?働きにくかったら嫌だし、どちらが私に合っているのかを知りたい…。
実際には、管轄や仕事内容などに細かい違いがありますので、こちらで解説していきますね!
幼稚園教諭と保育士の違いを徹底解説!
子どもに携わる仕事という意味では幼稚園教諭と保育士は同じだと言えますが、厳密には下記のような違いがあります。
項目 | 幼稚園教諭 | 保育士 |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
目的 | 教育をする先生 | 保護者の代理 |
保育対象 | 3歳から小学校就学前 | ゼロ歳から小学校就学前 |
職場 | 幼稚園 | 保育園、乳児院、児童養護施設等 |
保育時間 | 基本4時間 | 基本8時間 |
最近は、幼稚園と保育園の両方の機能を兼ねそろえた「認定こども園」という施設も登場しました。
認定こども園の場合は、基本的に幼稚園教諭免許と保育士資格のどちらも必要です。
認定こども園とは?
教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設です。以下の機能を備え、認定基準を満たす施設は、都道府県等から認定を受けることが出来ます。
それでは、特に大きな違いのある管轄・目的の違いと保育時間の違いについて見ていきましょう。
管轄・目的の違い
【幼稚園教諭の場合】
幼稚園教諭は、文部科学省が管轄していて子どもたちを教育することを目的としています。
3歳児以降の子どもが生活するうえで必要な知識を教育指導することが役割です。
【保育士の場合】
保育士は、厚生労働省が管轄する保育を目的とする仕事です。
保護者の代わりに食事や睡眠など、基本的な生活習慣が身に着けられるように子どもたちの生活を補助することが主な仕事です。
仕事内容の違い
【幼稚園教諭の場合】
幼稚園教諭は、文部科学省の定めたカリキュラムに基づいて仕事内容が決められています。
子どもへの対応以外にも、保護者との面談や書類作成やイベントの企画など仕事内容は非常に多岐にわたります。昼食の時間が終了すると、14時ごろには園児が登園するので、夕方まで事務作業や行事準備を行います。
【保育士の場合】
保育士は、朝から夕方まで子どもと一緒に遊び、保護者が迎えに来るまで対応します。また、毎日子どもごとに連絡帳を作成し、保護者とのやり取りするのも仕事です。
保育士同士でシフトを組み、7時から夕方、遅いときは20時ごろまで子どもを見る保育園もあります。
保育時間の違い
【幼稚園教諭の場合】
幼稚園教諭は、子どもと接するのが4時間と短めですが、それ以外の時間で会議やイベントの打ち合わせなどを行います。
教育をする先生というポジションなので、小中学校の教諭と同じように長期休暇を取得することができます。
【保育士の場合】
一方、保育士は働く保護者の代理というポジションで、土曜・日曜保育や時間外保育など利用者のニーズに応じたシフト制の勤務体系を取っています。
そのため、一般的には年末年始やゴールデンウィークなどでも開園していることがほとんどです。
幼稚園教諭・保育士の給料はどれくらい?
幼稚園教諭と保育士の平均給料の相場は、下記のとおりです。
項目 | 幼稚園教諭 | 保育士 |
月収 | 約24万円 | 約24万円 |
ボーナス | 約73万円 | 約70万円 |
年収 | 約367万円 | 約363万円 |
幼稚園教諭のほうがやや上回ってはいるものの、月収に関してはほぼ同じで保育士の給料と大きな差はないことがうかがえます。
こちらはあくまでも数値なので、幼稚園教諭か保育のどちらが良いか迷っている人は、それぞれの仕事内容や労働体系を確認して、自分が働きやすいと思えるほうを選ぶのがおすすめです。
幼稚園教諭として働くメリット・デメリットは?
幼稚園教諭として働くメリットを紹介します。
- 拘束時間が比較的短い
- 休暇が取りやすい
お昼過ぎに子どもたちが降園するため、夕方は業務に専念でき残業時間が保育士よりも少ない傾向にあります。
また、小学校中学校の先生と同じように土日に休んだり長期休暇を取ったりすることもでき、バランスの良い福利厚生が魅力です。
一方で、幼稚園教諭として働くデメリットはこちらです。
- 担当する子どもが多い
- 幼稚園免許は更新が必要
国の設置基準により、幼稚園では1クラスで35名まで受け持ちできるため、場合によっては1人の負担が大きくなる可能性があります。
また、幼稚園教諭は教員免許のため、10年ごとに更新が必要です。講義を受けるほか、更新試験を受けて合格しなければ更新することができないという大変さがあります。
幼稚園教諭になるために必要な資格はあるの?
幼稚園教諭になるために必要なのは「幼稚園教諭免許状」です。一種・二種・専修の3種類があり、どれか1つを持っていれば働くことができます。
それぞれの幼稚園教諭免許状について
【幼稚園教諭一種免許状】
幼稚園教諭に関する教育課程がある大学、また大学と同等の教育を行っている短期大学の専攻科を卒業することで取得が可能。
二種に比べ難易度が高く、園長へのキャリアアップにはほぼ必須。
【幼稚園教諭二種免許状】
文部科学省後任の幼稚園教育科やこども学科がある短期大学、大学短期大学部を卒業すれば取得が可能。
給与面などで一種より劣りますが、短期間での取得ができる。
また「幼稚園教諭の実務経験5年以上」「大学で所定単位を取得している」などの条件をクリアすれば一種免許状へ切り替えることも可能。
【幼稚園教諭専修免許状】
文部科学省公認の大学院修士課程を修了すると取得が可能。一種免許状と似ているが、専修免許状は公立幼稚園や保育事業を運営する企業への就職に有利。
このように免許状の取得は必要な教育課程を履修して学校を卒業しなければいけません。
しかし、保育士として実務経験が3年以上あれば下記の方法でも取得ができます。
- 「幼稚園教員資格認定試験制度」
- 「幼保特例制度」
保育士3年以上の実務経験があれば利用できる制度について
【幼稚園教員資格認定試験制度】
「高校を卒業・その他大学入学資格を持っている」の条件をクリアしていれば、幼稚園教員資格認定試験を受験可能。
出典:教員支援機構「令和2年度 幼稚園教諭資格認定試験 受験案内」
【幼保特例制度】
「高校を卒業している」「教職に関する科目のうち、所定の資格を8単位取得している」という条件をクリアしていれば幼稚園教諭二種免許状を取得可能。
保育士から幼稚園教諭になりたいと思う人は、こちらの2つの制度を利用してみましょう。
保育士として働くメリット・デメリットは?
保育士として働くメリットはこちらです。
- ライフスタイルに合わせて働ける
- 長い時間、子どもと関われる
保育士はパートや派遣社員という雇用形態で働くことができるメリットがあります。
また、ゼロ歳児から小学校就学前から子どもと関われるので、長い期間で成長を見守れます。
一方、保育士として働くデメリットは下記が挙げられます。
- 事務処理などに時間を追われる
- 体調管理が大変
保育時間が8時間で、他の業務に手を回しづらいデメリットがあります。
特に幼稚園教諭に比べて事務作業の時間をつくりにくく働きにくさを感じることがあります。夏休みなども開園するので長期的な休みも取りづらいでしょう。
そして子どもと関わる時間が長いため、感染症や風邪などをもらいやすい仕事です。そのため、体調管理ができて体が丈夫な人でなければつらい部分があります。
保育士になるために必要な資格はあるの?
保育士に必要な資格は、国家資格である保育士資格が必要です。
4月と10月の年2回開催される国家試験に合格しなければいけませんが、独学で取得することができます。
なお保育士国家試験の受験資格は、最終学歴の状態で異なります。
それぞれの受験資格について
【大学・短期大学卒】
学校教育法に基づいた大学を卒業すれば受験可能。卒業した学部や学科は問われない。
【専門学校卒】
「学校教育法を基づいた専修学校を卒業」「2年以上の専門課程を修め卒業」の条件を満たしていれば受験可能。
【高等学校卒】
「2年以上かつ2,880時間以上、児童等の保護または援護に従事した経験」があれば受験可能。なお、1991年3月31日以前の卒業であれば無条件で受験資格がある。
また、保育士資格は国家試験以外にも保育士養成校(大学・短大・専門学校など)に通い卒業することでも取得ができます。
保育士を目指す人は、まず自分が最も取得しやすい手段を調べてみましょう。
幼稚園教諭、保育士は未経験でも転職できるの?
幼稚園教諭と保育士どちらも未経験からの転職は可能です。
なぜなら日本では認定こども園が登場した背景もあり、教育現場は常に人手不足で悩まされているからです。転職の際、実務があるかどうかというよりも、仕事に対する意欲やコミュニケーション能力の有無が重視されます。
ただし、幼稚園教諭、保育士どちらも資格の取得は必須なので、まずは資格取得に向けて進学や勉強をしなければならないことは知っておきましょう。
もし、資格なしで幼稚園で働きたいという人は、補助として施設のサポートを通じて子どもたちと関わることができます。補助の求人は、パートやアルバイトで募集されていることがほとんどです。
まずは補助としてサポートに回りながら、実際の職場を経験して資格取得を目指すのもおすすめです。
幼稚園教諭・保育士の就職・転職におすすめの求人サイトをご紹介!
これから幼稚園教諭や保育士を目指す人におすすめの幼稚園教諭、保育士に特化した求人サイトを3つご紹介します。
- 保育のお仕事
- ジョブメドレー
- 保育士ワーカー
未経験からでもチャレンジできる求人が豊富なのでぜひチェックしてみてください。
いずれも登録は無料なので、求人を閲覧するだけでも使えますよ!
保育のお仕事
保育のお仕事は、保育士を目指す人に人気の転職サイトです。非公開求人もあって、条件の良い仕事が揃っています。また、幼稚園教諭の求人もありますよ。
専任のキャリアドバイザーが在籍しているため、地域専任でその地域の保育園や幼稚園の情報を網羅している点がメリットです。
ジョブメドレー
ジョブメドレーは医療介護分野に特化した求人サイトです。医療系が中心ではあるものの、保育分野があり幼稚園教諭と保育士の求人を検索することができます。
求人数が多く、企業側から直接面接のオファーが届くスカウト機能などが充実しています。資格を取得していれば様々な施設の求人と出会えます。
保育士ワーカー
保育士ワーカーは、保育士特化の求人サイトです。保育士だけでなく幼稚園教諭の求人もあるので、幼稚園教諭を目指す人でも利用できます。
保育園・幼稚園・認定こども園など施設のタイプから検索ができるのも特徴です。
まとめ
幼稚園教諭も保育士も資格が必要な仕事ですが、未経験のハードルは低いため誰でもチャレンジできる仕事です。
大事なのは子どもが好きであることや、仕事に対する熱い想いです。
幼稚園教諭と保育士の違いを理解して、自分にとって働きやすいほうを選択しましょう。