仕事

速記に必要な資格とは?取得方法を解説!【元速記部員が語る】

資格を取得したいけど、「速記」ってどうなんだろう?

もし就職や転職で有利になるんなら取得したいな。

速記に関する資格は何があるか知りたい!

今回は、速記の資格に興味があるアナタに向けた記事です。

【今回の記事をまとめるとこんなカンジです】

  • 速記に必要な資格名がわかります
  • 資格を取得する方法がわかります
  • 速記の資格が生かせる仕事は何があるかわかります

速記は奥が深い世界です。

私も大学で4年間速記をし、新卒で入った会社で速記をしていたので約8年ほどの実績があります。

速記に関する私のエピソードはこんな感じ。

  • 関西大学で速記部に入部。2008年に主将を務め全国大会で優勝経験アリ。
  • 速記会社で会議録作成業務に従事。主に関西の市議会で速記士として議場の真ん中で速記をする。
  • そのほか、市役所の協議会や委員会でも速記者として業務に当たる。

ですので、速記に関する情報はある程度信ぴょう性を持って話せると自負しています。

Yamagami
Yamagami
速記のことなら何でも聞いてくれ!!

そもそも「速記って何?」「早く日本語書けばいいの?」という人はこちらを見てもらったほうが早いですね。

早稲田式に関しては「ステ吉」さんの動画が超わかりやすいです。

話を一言一句漏らさずに記録していくのが速記。
パッと見ワケわかんないと思いますが、コレがガチの速記です。

到底日本語では間に合わないので、簡略化した速記文字なら追いつけるというワケですね。

不思議なもので、練習すればするほどどんどん書けるようになっていくため、速記は一度ハマると抜け出せない中毒性があります。

速記に必要な資格とは?

速記で有効な資格は「速記技能検定」のみです。
詳しく見ていきましょう。

公益社団法人 日本速記協会

主催 公益社団法人 日本速記協会
受験資格 制限なし
受験日程 5月、8月、11月の最終日曜日
受験料 【1級】6,000円
【2級】5,000円
【3級】4,000円
【4級】3,000円
【5級】2,500円
【6級】2,000円
出題形式 CD読み取り・反訳

【速記技能検定の流れ】

  1. 問題文が読み上げられる
  2. 聞いた言葉を書き取る
  3. 朗読終了後、原稿用紙に反訳して提出

朗読終了後の原稿用紙で、内容を正しく書き取ることができれば合格です。

各級のレベルと試験内容、合格基準は次のとおりです。

1級 – アナウンサーがニュースを読む速度よりやや速め
試験内容 – 分速320字/朗読時間10分/総字数3200字/反訳時間130分
合格基準 – 98%以上の正答率(許容失点64字以下)

2級 – すらすらとよどみなく朗読する速さ
試験内容 – 分速280字/朗読時間10分/総字数2800字/反訳時間130分
合格基準 – 98%以上の正答率(許容失点56字以下)

3級 – 政治家が大声で街頭演説をするくらいの速さ
試験内容 – 分速240字/朗読時間5分/総字数1200字/反訳時間60分
合格基準 – 97%以上の正答率(許容失点36字以下)

4級 – 文節ごとに細かく息継ぎして読む速度
試験内容 – 分速180字/朗読時間5分/総字数900字/反訳時間60分
合格基準 – 97%以上の正答率(許容失点27字以下)

5級 – 文節ごとにポーズを入れて読む速度
試験内容 – 分速120字/朗読時間5分/総字数600字/反訳時間60分
合格基準 – 96%以上の正答率(許容失点24字以下)

6級 – 頑張れば普通の文字で書ける速さ
試験内容 – 分速80字/朗読時間5分/総字数400字/反訳時間60分
合格基準 – 96%以上の正答率(許容失点16字以下)

引用元:Wikipedia

記載のとおり、6級なら日本語を書いても間に合うレベル。5級は速記を覚えたての人なら取れます。ただし、3級以上は速記が使いこなせていても苦戦するレベルですね。

平成30年度の速記技能検定の合格率は次のとおりです。

【平成30年度 速記技能検定合格率】

【1級】31.9%
【2級】29.7%
【3級】20.9%
【4級】44.7%
【5級】34.8%
【6級】77.8%

参考「平成30年度 速記技能検定実施結果」

合格率を見てもわかるとおり、資格の中でも難易度が高い部類であることがうかがえますね。

速記の資格を取るための方法

速記の資格を取るための方法は下記の2つが最も効果的です。

  1. 速記が学べる大学に入る
  2. 通信教育を受ける

独学でも不可能ではないですが、速記の資格取得を目指すときは指導者の存在がかなり大きいです。

なぜなら、短縮する書き方や細かいテクニックはテキストでは知り得ることができず、誰かに教えてもらうことでしか修得できないからです。

① 速記が学べる大学に入る

正直いうと、大学で速記を取り扱っている部活やサークルに入って学習するのが最も効率的に習得ができます。

速記の練習は読み上げてくれる人が必要で、先輩の指導があれば嫌でも技術が向上していくからです。

私がいた関西大学の速記部では毎日のように練習時間があり、強化合宿では速記の練習をひたすらしていました。

Yamagami
Yamagami
春合宿は、ご飯と風呂以外速記です(笑)

速記が学べる大学は、有名どころで次のとおり。

【速記が学べる大学】

  1. 関西学院大学(速記研究部)
  2. 関西大学(速記部)
  3. 早稲田大学(邦文速記研究会)
  4. 福岡大学(速記研究部)

おそらく早稲田大学が一番有名で「早稲田式」の速記ですね。
関西大学なら「山根式」の速記術といった具合に学校によって式が異なります。

いずれかの大学に入って練習すれば、2年で3級レベルの技能は問題なく修得できます。

実際、全国大会でも各級偏りなく各大学の選手がエントリーされていましたね。

ただし1級~2級からは、練習量やテクニックが求められるため、個人差が出てきます。

速記の練習は読み上げてくれる人がいるだけで全然違うので、資格を取るための準備は大学で学ぶのが一番早く修得できます。

② 通信教育を受ける

今から大学なんて入れないよ!

という方もいますよね。
大学の話ばかりしていますが、通信教育もあるので安心してください。

早稲田通信教育センターの発行するテキストやDVDは、1級から6級に合格するための速記文字を指導してくれるので、資格取得のための勉強ができます。

受講料はかかりますが、大学で学習するのが難しい人はチェックしてみてください。

速記の資格取得で役立つテキストをご紹介!

速記を覚えるためのテキストは少ないですが、何冊かあります。

速記を全く使ったことも練習したこともないという人は、通信学習を始める前にテキストを1冊買ってみて、感覚を掴んでから本格的な学習を始めてみましょう。

本を1冊でも読んでおけば、

通信教育を申し込んだけど、思ってたのと違っていた……

というミスマッチを防げますからね。

また、学校で速記を学んでいる人や通信教育を受けている人であれば、テキストを使うことでより効率的に学習ができます。

それでは順にご紹介していきましょう。

「みんなの速記入門V式」


速記入門で使える書籍です。覚える文字数が少ないので初心者にぴったり。

3級以上に求められる技術を身に着けるためには物足りない内容ですが、価格がお手頃で5級や6級なら合格できます。

「速記って何から始めたらいいの?」という初心者の方の入り口としては十分のテキストです。

「増補・改訂版!V式でらくらく合格 速記入門」


先ほどのV式のレベルアップ版です。

本番で使える略字や省略法が記載されているため、速記のテクニックを網羅的に修得できます。

かの有名な早稲田式よりも覚えることが少なく、短期間でひととおりの速記をマスターしたい人におすすめです。

「入門早稲田式 速記が書ける」


早稲田式を覚えたい人はこちらがおすすめです。

五十音の習得から、助詞・助動詞の書き方まで解説されていて早稲田式のイロハを学べます。

通信教育とあわせて学習するとより効果的です。

速記の資格を取得して生かせる仕事

速記の資格があれば、速記会社で重宝されます。

実は今の速記会社は社内在籍の速記士が不足していて、資格を持っているだけでかなり有利になるからです。そのため、多くは速記士と業務委託契約を交わしています。

速記会社と名乗っている以上、会社は速記のできる社員が内部にいてほしいということですね。

また、実際に国会や議会で契約を取る際、仕様書の中に「1級速記士限定」「2級速記士以上限定」の契約があります。

事実、動ける1級速記士がいないから仕事が取れないと困っている速記会社も結構あります。

そのため、速記技能検定の資格があれば速記会社への就職、転職にはかなり有利です。

速記の仕事は今後なくならない?

今はICレコーダーで録音ができますよね?

今後需要がなくなる可能性はありませんか??

たしかにICレコーダーの台頭により速記士の需要は減少傾向にあるのは事実ですが、それでも速記士を必要とする議会はあります。

正直いうと、速記の技術そのものが求められているというより「速記士が参加している質の高い議場(会議)」というものに需要があるんですよね。

速記士が入る会議は箔がつくというんでしょうか。
国会中継でも中央に速記士がいるだけで、しっかりと一文字一文字を記録しているんだという誠実なイメージが出ますよね。

そのように格式を大切にしている議会はまだあるので、今後すぐに速記士の需要がなくなることはないと思います。

まとめ【速記で有効な資格は速記技能検定のみ】

速記で有効な資格は速記技能検定だけです。

特殊な資格なので限定的ではありますが、資格を取得できれば速記会社への就職や転職に有利になることは間違いありません。

それではまとめます!

  • 速記の資格は速記技能検定のみ!
  • 速記の学習は大学に入って学ぶか、通信教育を受けるの2パターン!
  • 速記の資格を取れば速記会社への就職、転職に有利!
  • 速記士の需要は今後もあります!

今回の記事が、速記の資格取得を考えている人の参考になれば幸いです!